政府開発援助(ODA)に関する会計検査の結果についての
報告書(要旨)
平
成
2
0
年
1
0
月
検査の背景
参議院からの検査要請は、政府開発援助(ODA)についての次の各事項である。
( 1) 検査の対象
外務省、独立行政法人国際協力機構( JICA) 、国際協力銀行( JBIC)
( 2) 検査の内容
政府開発援助( ODA) についての次の各事項
① 開発コンサルタント、NPO等への委託契約の状況について
特に
・対コスタリカODAにおける株式会社パシフィックコンサルタンツインターナ
ショナル(PCI)に係る不祥事の概要、同種事案の有無
・外務省、JICA及びJBICのPCI等日本の開発コンサルタント会社に対
する事務・業務の委託契約の状況
② 草の根・人間の安全保障無償援助の実施状況について
③ スマトラ沖地震の緊急援助の実施状況について
( 3) これまでの会計検査の実施状況
前記の要請により実施したこれまでの会計検査の結果については、平成18年9月21日
及び19年9月12日に、会計検査院長から参議院議長に対して報告した(以下、18年9月
の報告を「18年報告」、19年9月の報告を「19年報告」という。)。
18年報告及び19年報告のうち「スマトラ沖地震の緊急援助の実施状況について」は、
「検査の結果に対する所見」において、それぞれ、ノン・プロジェクト無償資金協力
事業(以下「ノンプロ無償資金協力事業」という。)に係る資金の執行状況について
引き続き検査を実施して、その検査の結果を取りまとめが出来次第報告することとし
た。
スマトラ沖地震の緊急援助の実施状況について
1 会計検査院は、16年12月26日に発生したスマトラ沖地震及びインド洋津波被害に際し、
我が国が17年1月にインドネシア共和国に対して146億円、モルディブ共和国に対して20
80億円の資金を供与したノンプロ無償資金協力事業の実施状況について、18、19両年次
に引き続き20年次においても、施設の建設や機材の調達のために供与された資金の執行
状況を中心に、有効性等の観点から検査した。
案件実施のために締結した契約についてみると、表1のとおり、資金供与額に対する契
約締結済額の割合である契約締結率は、20年3月末現在、インドネシア共和国では98. 7%、
モルディブ共和国では92. 9%、スリランカ共和国では98. 8%となっていた。そして、資金
供与額に対する支払済額の割合である支払率は、20年3月末現在、インドネシア共和国で
は91. 3%、モルディブ共和国では87. 7%、スリランカ共和国では89. 4%となっていた。
表1 3か国の資金の執行状況の推移
政府口座から調達 調達口座での資金の執行状況
国 名 年 月 口座への受入金額 契約締結 支払 支払後の残高(無
(円) 件 契約締 支払率 単位は円、$は米
数 金額(円) 結率 金額(円) ( %) ドル、LKRはスリ ランカルピー。)
( %)
平成
14, 600, 059, 325 108 8, 526, 959, 242 58. 4 2, 990, 672, 270 20. 5 11, 609, 387, 055
18年 3月末
14, 600, 059, 325 169 13, 106, 386, 978 89. 8 9, 156, 431, 271 62. 7 5, 443, 628, 054
インドネシア 19年 共 和 国 3月末
14, 600, 059, 325 177 14, 410, 499, 844 98. 7 13, 327, 126, 106 91. 3 1, 272, 933, 219
20年 3月末
136, 066, 407 18年 2, 000, 002, 235 20 1, 956, 669, 286 97. 8 604, 208, 723 30. 2 $10, 504, 212. 91
邦貨換算額計
3月末
1, 396, 571, 956 5, 633, 264 2, 000, 002, 235 21 1, 891, 686, 658 94. 6 1, 617, 101, 824 80. 9 $3, 182, 777. 54
モルディブ 19年
邦貨換算額計
共 和 国 3月末
387, 566, 568 0 2, 000, 002, 235 20 1, 858, 914, 573 92. 9 1, 754, 557, 496 87. 7 $2, 098, 827. 31
20年
邦貨換算額計
3月末
251, 859, 277 8, 000, 009, 316 86 7, 506, 743, 290 93. 8 3, 423, 649, 226 42. 8 4, 576, 364, 911
18年 3月末
8, 000, 009, 316 96 7, 778, 198, 010 97. 2 6, 201, 120, 890 77. 5 1, 798, 893, 247
スリランカ 19年 共 和 国 3月末
836, 879, 261 8, 000, 009, 316 97 7, 907, 704, 728 98. 8 7, 152, 277, 548 89. 4 LKR9, 802, 259. 89
20年
邦貨換算額計
3月末
847, 736, 589 2, 109, 812, 480 $2, 098, 827. 31 計 20年 24, 600, 070, 876 294 24, 177, 119, 145 98. 3 22, 233, 961, 150 90. 4 LKR9, 802, 259. 89
邦貨換算額計
3月末
2, 372, 529, 085 注( 1) 契約締結件数にはJICSとの調達代理契約が含まれ、契約締結金額にはその概算額(上限額)が
含まれる。
注( 2) 「政府口座から調達口座への受入金額」には我が国から供与された資金のほかに、政府口座におい て発生して調達口座に入金された利息(インドネシア共和国59, 325円、モルディブ共和国2, 235円、 スリランカ共和国9, 316円)を含む。
注( 4) 「契約締結率( %) 」及び「支払率( %) 」は、小数点第2位以下を四捨五入している。
このように、契約締結率に比べて支払率が低くなっているのは、ノンプロ無償資金に
よる事業の内容は、施設の工事に係る契約が多く、契約締結後も工事の完了までに相応
の工期を要して、工事の進ちょくに応じて資金を支払うことになっているためである。
しかし、資金供与後3年余りが経過して工事が進ちょくしたことなどにより、3か国の合
計で支払率が90. 4%にまで上昇して、契約締結率との差がなくなってきている。また、
調達口座における残高も、20年3月末において、インドネシア共和国では約13億円、モル
ディブ共和国では約3億円、スリランカ共和国では約8億円にまで減少している。さらに、
その残高には、工事の進ちょくに応じて今後支払うこととなる額や瑕疵担保の保証期間
か し
が経過すれば支払うこととなる額等が含まれているため、残高は今後一層減少すること
になる。そして、外務省の説明によれば、3か国において、今後新たに締結する予定の契
約はないとしている。
ノンプロ無償資金協力事業の中には、表2のとおり、20年3月末において、契約は締結
したが資材の調達や作業員の確保ができなかったこと、治安状況が悪化したこと、契約
を解除して新たな契約を締結したことなどから、契約に基づく給付が完了していない案
件が見受けられた。しかし、相手国事業実施機関等の説明によれば、これらの案件につ
いても、20年12月までにはすべての給付が完了するとしている。
表2 給付完了率の状況 ( 単位:案件)
国 名 給付完了率 100% 50%以上100%未満 50%未満 計 平成
18年3月末現在 0 5 9 14
インドネシア
19年3月末現在 2 9 4 15
共 和 国
20年3月末現在 12 2 1 15
18年3月末現在 0 1 2 3
モルディブ
19年3月末現在 1 2 0 3
共 和 国
20年3月末現在 2 1 0 3
18年3月末現在 3 3 8 14
スリランカ
19年3月末現在 8 3 3 14
共 和 国
20年3月末現在 11 2 1 14
18年3月末現在 3 9 19 31
計 19年3月末現在 11 14 7 32
20年3月末現在 25 5 2 32
から事業を中止したこと、請負業者の不履行で契約を解除したことなどにより、最終的
には供与額に未使用額が生ずることになる。外務省は、3か国が実施した津波復興事業の
費用の一部にこの未使用額を充てる案等について、3か国政府と協議を行っているとして
いる。
そして、外務省では、この状況を受けて、21年中に事後評価を実施することにしてい
る。
なお、3か国のうちスリランカ共和国については、同国の治安状況が悪化したため、会
計検査院は同国における会計実地検査を実施することができなかったが、モルディブ共
和国における現地調査に立ち会った在スリランカ日本国大使館の職員等からスリランカ
共和国の状況について説明を聴取した。
2 本件ノンプロ無償資金協力事業に関して、外務省は、給付が完了していない一部の案
件について、早期の完了を確実なものにするため、相手国政府と一層連携して、相手国
政府に対する働きかけを継続して行う必要がある。
また、中止又は解除した契約のうちに、請負業者に支払った前払金等が返還されてい
ない事態が見受けられた。このまま前払金等が返還されない場合には、資金が有効に活
用されないことになることから、外務省は、早期の返還が実現するよう相手国政府に対
する働きかけを継続して行う必要がある。
さらに、外務省は、供与額の最終的な使用額及び未使用額を明らかにするとともに、
未使用額については、相手国政府と十分協議の上、資金の適切な活用方法を検討する必
要がある。
本件ノンプロ無償資金協力事業は、16年12月26日に発生した大地震及びそれに伴う大
規模な津波による被害に対する緊急援助として実施されたものであるが、17年1月19日に
3か国に供与された計246億円による施設の建設や機材の調達等の案件は、3年余りを経過
して、給付が完了したものが着実に増加してきている。これらの施設や機材が、被災地
等における災害復旧・復興のため、今後とも有効に活用されることが望まれる。
以上のとおり報告する。
そして、会計検査院としては、3か国への供与額の最終的な使用額及び未使用額について、
外務省から報告を受けるとともに、同省が事業完了後に行うとしている本件ノンプロ無償